土の温かさを感じて、寒い季節には鍋物や湯豆腐を作ったり、ごはんも炊けるしプリンも作れちゃう一年中大活躍してくれる万能アイテムの土鍋。
大きさも色々あって、今では100円ショップでも購入できて暮らしに欠かせないアイテムです。
そんな万能な土鍋ですが、購入したらすぐ使えるものじゃないんです。長く使っていくため、はじめに「目止め(めどめ)」をはじめ、ちょっとしたお手入れが必要です。
「目止め(めどめ)」は、器の水漏れやひび割れ、におい移りを防ぐために行うことを言います。土鍋の表面をコーティングし、穴埋めするというお手入れが必要なんです。
では、なぜ目止めが必要なのか?どうしたらいいのか?について紹介していきます。
土鍋の使い始めのやり方~基本編
目止めのやり方はいくつかありますが、お粥を炊く方法が最も知られています。
水洗いして乾燥させる
まずは土鍋を水洗いすることから始めます。洗剤を使わず水で丁寧にあらって、しっかり乾燥させます。ここで水分が残っていると、火にかけた時にヒビが入る可能性がありますので、土鍋の底を触ってしっかり乾いているかを確認しましょう。
8分目まで水を入れ、ご飯を入れる
次に8分目までくらいまで水を入れ、水の5分の1を目安にご飯を入れてざっくりほぐします。残りご飯で大丈夫です。
弱火で1時間ゆっくり加熱
弱火にかけて加熱します。土鍋は急な温度変化に弱いので、かならず弱火でゆっくり加熱しましょう。この時フタをしないことが大切です。拭きこぼれに注意しながら1時間加熱します。
冷めるまで待つ
自然に鍋が冷めるまで待ちます。
水洗いして、しっかり乾かす
完全に冷えたら中身を他に移して水洗いします。その後しっかり乾かしましょう。
炊いたご飯(おかゆ)は食べても食べなくてもOK。美味しく頂けますが、使い始めで何かと気になったり抵抗があると感じたら食べなくてもいいと思います。
土鍋の使い始めのやり方~ご飯以外のやり方
土鍋の目止めは、ご飯のほかでんぷん質の食材でもできます。片栗粉・小麦粉・米のとぎ汁・牛乳などが使えます。
片栗粉・小麦粉で目止めするやり方
片栗粉・小麦粉は同じ方法で目止めができます。
土鍋に8分目くらいまで水を入れたら片栗粉又は小麦粉を大さじ2杯入れて、弱火にかけます。10分〜20分沸騰させたら火を止めて、土鍋が完全に冷めるまで待ちます。完全に冷めたら、中身を捨てて土鍋を水洗いしたら終了です。
お米のとぎ汁で目止めするやり方
お米のとぎ汁を土鍋の8分目まで入れたら、弱火にかけます。10分〜20分沸騰させたら火を止めます。土鍋が完全に冷めたら中身を捨てて水洗いします。
ただ、お米のとぎ汁はお粥よりもでんぷん濃度が低くなるので、目止めの効果は低いと言われています。ご飯を使うより、お米のとぎ汁を再利用したい時には使える方法です。
牛乳で目止めするやり方
牛乳を土鍋の8分目まで入れたら、弱火にかけます。10分〜20分沸騰させたら火を止めます。土鍋が完全に冷めたら中身を捨てて水洗いします。
ご飯・片栗粉・小麦粉・お米のとぎ汁の場合は、食材に含まれるでんぷんを目止めに利用していますが、牛乳の場合は、カゼインというタンパク質が目止めの役割をします。カゼインには粘性があるので、でんぷんと同じように目止めしてくれる効果があるんだそうです。
なぜ土鍋の使い始めに目止めは必要なの?
土鍋をはじめ土物(つちもの)の器には、素材である土に小さな穴がたくさんあって、これを「目(め)」といいます。
この目(め)をはじめに塞がないで使い始めてしまうと、弱くなってきた部分から亀裂が入ったり、目に臭いがついてしまって取れなくなってしまうなどトラブルの元になってしまうんです。
土鍋を長く愛用するために、使い始めに「目止め(めどめ)」をする必要があるんです。
しかし土鍋と言っても種類がたくさんあります。使おうと思っている土鍋がどのような種類のものかチェックしておくといいですね。
ここでは代表的な3種類を紹介します。
・伊賀焼
耐水性が強く直火にかける鍋として重宝されます。高い蓄熱性やザ・焼き物というフォルムが人気を集めています。目が荒いので定期的なメンテナンスが必要で、一緒に育てていく感覚の土鍋です。
・萬古焼
広く使われている焼き物の一つです。元は熱に弱い土に医師の一種をブレンドすることで耐火性を強化した半磁器に分類され、目が細かいためニオイ移りがしにくく、ご飯を炊く専用の器として使っている方も多い焼き物です。
・その他
ガス・IH両方で使えるものなど機能的なものが多いです。セラミックが知られていますね。目も細かいのでニオイ移りも少なく、一つあると様々な料理に使え、目止め無しで使えます。
土鍋を長持ちさせるためのコツ
目止めが完了したら、いよいよ使えるようになります。長く愛用するためにちょっとしたコツを紹介します。
定期的な目止め
目止めは使い始めに一回だけすると大丈夫と思われがちですが、定期的に目止めをするち長く愛用できます。
特に目の粗い伊賀焼などの場合は、定期的なメンテナンスを行うといいですね。
また、土鍋を火にかけると、土の部分と釉薬の収縮率の違いにより、表面に貫入(かんにゅう)と呼ばれる蜘蛛の巣が張ったようなヒビのようなものが生じます。
この貫入が起こると、そこから水がしみ込む可能性がありますので、定期的に目止めをすることで貫入のすき間を埋めることができ、水のしみ込みを防ぐことができます。
急に熱したり、急に冷やすことを避ける
土は呼吸する素材で、熱する、冷やすの繰り返しの中で、土鍋は膨張と収縮を繰り返しています。そのため、急に熱したり、急に冷したりすると、急激な温度変化に土鍋の呼吸が追いつかなくなり、ヒビ割れや破損がおきてしまいます。
使う時には、土鍋の底が濡れていないか確認してから火にかけ、ゆっくり温度を上げるようにするといいですね。
使い終わった後も、自然に冷めるのを待ってから水洗いすれば土鍋に負担をかけることがありません。
洗い方にも注意が必要
洗い方にもポイントがあり、クレンザーのような研磨剤は土鍋表面に傷をつけ、水がしみ込む原因を作ってしまいます。使い終わったら自然に冷えてから柔らかいスポンジで水洗いしましょう。
完全に乾いてから片づける
土鍋にとって良く乾かすことが必要不可欠です。もともと土は球種性の高い素材で、釉薬のかかっていない土鍋の底面は、使った後の水洗いである程度水を吸収しています。
乾燥が十分でなかったり、目止めした後の乾燥が十分でなかったりすると、土鍋に水がかかった状態のままになりますので、カビやニオイ移りの原因になります。
目止めを定期的に行っていても、しっかり乾燥しておかないと逆効果になりがちです。
土鍋はしっかり乾かすことを覚えておくといいですね。
まとめ
いかがでしたか?
土鍋の使い始めはでんぷん質の食材を使って目止めを行い、しっかり乾燥させてから使うようにする。
ご飯のほか、片栗粉・小麦粉・お米のとぎ汁・牛乳でも目止めができる。
土鍋を使う時は、加熱は急激な温度変化に注意してゆっくり加熱、使い終わったら完全に土鍋が冷えてから水洗いして、しっかり乾燥させるのが長く愛用するためのルール。
定期的に目止めを行うことも長く愛用するためのポイント
ちょっとした手間がかかりますが、その過程も楽しみながら土鍋ライフを楽しむっていいですね。