日本には様々な伝統行事がありますが、その中でも華やかなものが「ひな祭り」。
女の子の健やかな成長を願う行事で、女の子らしく可愛らしく過ごせたらいいなと思う方も多いのではないでしょうか?
そんな中、悩んでしまうのが、ひな祭りの時に食べる料理。今回はひな祭りの定番メニューと、その由来や意味について紹介していきます。
ひな祭りとは?
3月3日の「ひな祭り」は、ひな人形を飾り、女の子の健やかな成長を願う行事で「桃の節句」「上巳の節句」とも呼ばれています。
「桃の節句」という別名は、桃の開花期に重なるというだけでなく、桃の木が邪気を祓う神聖な木と考えられていたからだそうです。
また、3月3日は、その由来からもわかるように、春を無事に迎えられたことを喜び、これからも皆が元気で過ごせるようにと願う日でもあります。ですから女の子を主役にしてお祝いしてもいいですし、みんなで春を迎えられたことに感謝するのもいいですね。
ひな祭りの献立の定番メニューは?
ひな祭りの献立で定番メニューとしては、次の5つのメニューを押さえておくとまずは大丈夫でしょう。
- ちらし寿司
- はまぐりのお吸い物
- 菱餅
- ひなあられ
- 白酒または甘酒
ちらし寿司の由来と意味
ひな祭りの料理として一番に挙げられるのが「ちらし寿司」です。昔はおめでたい行事の時には、お寿司、ばら寿司、太巻き、押し寿司など様々な形態でした。
しかし、現在ではメーカーの宣伝などによって、比較的簡単に調理できるちらし寿司が全国に広まり食べられるようになりました。
また「寿(ことぶき)を司(つかさど)る」ということで、「寿司」自体にお祝いの席で食べる縁起とがいいとの意味があるとも言われています。
このことから、ひな祭りにちらし寿司をいただく明確な由来が存在しないんです。ちょっと驚きですね。
ひな祭りでのちらし寿司を作る時のポイントは『具』です。縁起の良いものを取り入れて作るのが一般的です。
- えび・・・長生き
- れんこん・・・見通しがきく
- 豆・・・健康でまめに働ける
- 菜の花・・・春らしさ
上記のような縁起のいい具材を使い、みつば、玉子、にんじんなどの華やかな彩りにすることでお祝いの席が一気に華やかになりますね。
お吸い物の由来と意味
ひな祭りでお吸い物と言えば「蛤(はまぐり)」のお吸い物です。はまぐりなどの二枚貝は、対になっている貝殻しか絶対に合わないことから貞操を象徴し、何事にも相性の良い結婚相手と結ばれて、仲睦まじく過ごせることを願っています。
お吸い物を盛り付ける時、開いた貝の両側にそれぞれ身をのせ(1つの貝に2つ分の身がのる)、将来の幸せを祈っていただくと良いとされています。
盛り付けにも意味を持たせているんですね。
菱餅の由来と意味
菱餅は、赤・白・緑の3色のものが一般的ですが、地方によって異なり、2色であったり、5色や7色になっている餅を菱形に切って重ねて作る地域もあります。今の形になったのは江戸時代初期からといわれています。
菱餅のルーツは、古代中国の上巳節で食べていた母子草のお餅で、母と子が健やかであるようにという願いが込められています。それが日本でよもぎ餅となり、江戸時代に菱を入れた白い餅が、明治時代にくちなしを入れた赤い餅が加わって、3色となりました。
それぞれの色には、健やかな子に育ってほしいという願いが込められています。
<桃色(赤)>
赤いクチナシの実には、解毒作用があり、赤は魔よけの色とされることから、山梔子の実で赤色を付けて健康を祝い、桃の花を表す。
<白>
血圧を下げるひしの実が入り、子孫繁栄、長寿、純潔を願う。白色が清浄を表し、残雪を模している。
<緑>
強い香りで厄除け効果があるよもぎ餅。春先に芽吹く蓬の新芽によって穢れを祓い、萌える若草を喩えた。健やかな成長を願う。
また、3色を重ねる順番で春の情景を表現しています。
・下から緑・白・桃色の順番で、“雪の下には新芽が芽吹き、桃の花が咲いている”
地域によっては次の順番のところもあります。
・下から白・緑・桃色の順番で、“雪の中から新芽が芽吹き、桃の花が咲いている”
この3色はひな祭りの色として定着していて、さらに菜の花を表す黄色を加え、より華やかにする場合もあります。
形の意味については諸説あり、地域によって伝わり方に違いがあります。
- 大地を表す
- 心臓を表す
- 長寿の願いを込めた
- 子孫繁栄を願った
- 宮中で出される料理から
地域によって様々な伝わり方をしているとは驚きです。みなさんの地域はどのような意味が込められているが子どもたちと一緒に調べてみても面白いですね。
ひなあられの由来と意味
そもそもひな祭りで飾られているお雛様は子供たちの人形遊びが由来になっています。その昔、ひな人形を持って野山や海辺へ出かけ、おひなさまに春の景色を見せてあげる「ひなの国見せ」という風習があり、春のごちそうと一緒にひなあられを持って行ったのが始まりで、菱餅を砕いて作ったという説もあります。
何と、ひなあられは携帯食だったんですね。
関西風のひなあられは“あられ”ですが、関東風のひなあられは“ポン菓子”で、味も見た目も違います。
色には意味があり、3色(白・緑・赤)と4色(白・緑・赤・黄)で意味合いが違ってきます。
3色の場合は・・・
- 白 ⇒ 雪の大地(大地のエネルギー)
- 緑 ⇒ 木々の芽吹き(木々のエネルギー)
- 赤 ⇒ 血、生命(生命のエネルギー)
ひなあられを食べることで「自然のエネルギーを得られ、1年間を健康に過ごせるように」という意味合いが込められています。
4色の場合では…
- 白 ⇒ 冬
- 緑 ⇒ 春
- 赤 ⇒ 夏
- 黄 ⇒ 秋
四季を表わすひなあられは、1年を通しての幸せを祈っていると言われています。
白酒の由来と意味
白酒は、甘酒と違って「お酒」です。中国では、桃の節句には長寿を願い、魔除けの力を持つと言われる桃の花を浮かべた「桃香酒」を飲む習慣がありました。
「桃の香りのお酒=桃香酒」と書くように、桃の匂いが特徴だったそうで、さらに桃というのは長生きの象徴でもありました。
大蛇が宿ってしまった女性が3月3日に白酒を飲めば、胎内の大蛇を流産させることが出来ると事を聞いて、胎内に悪い子が宿らないように、白酒を飲むようになった…。という言い伝えもあります。
日本でも「桃香酒」が飲まれていましたが、江戸時代に白酒が大流行しました。甘酒は別名「一夜酒」(ひとよざけ)とも呼ばれ、一日で作ることができるほど簡単だったために昔から庶民に親しまれていたことも関連しているようです。
独特の甘みで飲みやすい白酒は、女性も飲みやすく桃の花と白酒の「紅白」の色がめでたいことから、ひな祭りの定番になりました。
まとめ
いかがでしたか?
ひな祭りは、女の子の健やかな成長をお祝いする行事なので、食べ過ぎには注意して、みんなでお祝いしましょう。