道ばた、田んぼの畦道などで見かける「彼岸花(ヒガンバナ)」。スッと伸びた茎に赤い花が印象的ですね。
彼岸花を見ると、季節が進んだなって感じるのですが、花が咲く時期ってどうなんだろうって疑問に思ったので、調べてみました。
彼岸花の咲く時期はいつ?
彼岸花が咲く時期は、秋分の日前後、秋のお彼岸の時期、つまり9月中旬すぎに開花をして、下旬頃に見ごろを迎えます。
開花期間は1週間ほどで短い印象ですね。
彼岸花が一望できる場所として知られる、埼玉県日高市の「ひだか巾着田」は、赤い彼岸花が一面に広がり圧巻の景色です。
画像:http://www.kinchakuda.com/calendar/flowers/08manjyu.htm
ここでは彼岸花のほか、コスモスや菜の花なども自生していて、自然豊かな環境で育つ植物たちを見て楽しむことができます。
彼岸花の名前の由来は?
では、彼岸花の名前の由来についてですが、秋のお彼岸の時期だけに花を咲かせることから、名付けられたと言われています。
彼岸花について
- ヒガンバナ科ヒガンバナ属
- 球根植物
- 背丈はだいたい30cm前後
- 道端、田の畦道、墓地、寺院など、身近な場所によく植えられている
- 9月末頃に花の時期が終わると花弁を落とし茎のみの姿になる
- 冬が近づくと細い葉を出すが、春には枯れ、秋のお彼岸の頃にはまた咲く
彼岸花の別名って何?
少しミステリアスな雰囲気のある彼岸花には、実に多くの別名を持っています。
・曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
サンスクリット語で「天界に咲く花」の意味で、おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる、という仏教の経典から来ています。
・葉見ず花見ず
彼岸花の花の咲き方には、他の植物と大きな違いがあります。
花が咲いている時の彼岸花をよく見ると、葉っぱが無く、30センチほどスッと伸びた茎の先端に花が咲いています。
そして花が咲き終わったら葉っぱが出てきます。
他の植物とは全く逆ですね。
冬になると、茂った状態の葉っぱのまま越冬します。
このように、花が咲いている時期には葉がなく、葉のある時期には花が無いという特徴から、「葉見ず花見ず(はみずはなみず)」と呼ばれています。
また、彼岸花は花が咲き終わってから葉が出てくるので「葉無し草」とも言われることもあります。
・死人花、幽霊花、地獄花
お彼岸の頃に咲くから、このような呼び名になったと言われています。
・毒花、痺れ花
彼岸花にはアルカロイドという毒を持っていることから、「毒花(どくばな)」「痺れ花(しびればな)」などと呼ばれています。
その反面、でんぷんを多く含んでいるため、食べることもでき、毒は水にさらすと抜けるため、飢餓で苦しい時に毒を抜いて食べていたこともあったそうです。
その他にも、幽霊花(ゆうれいばな)、剃刀花(かみそりばな)、狐花(きつねばな)、捨子花(すてごばな)、雷花(かみなりばな)、レッドスパイダーリリー、ハリケーンリリー、マジックリリーなどの別名をもちます。
彼岸花には「毒」があるの?
彼岸花は、日本に自生しているものではなくて、ユーラシア大陸東部から、稲の伝来とともに彼岸花の球根が混入して、広まったものとされます。
また、野ネズミやモグラなど土に穴を掘る小動物を避けるために、彼岸花を畔や土手に植えたとも考えられています。
野ネズミやモグラは、他の植物の根はかじっても、彼岸花の球根や根っこはかじらないと言われいます。
これは、彼岸花の球根に毒があるためで、野ネズミやモグラ避けとして使うために持ち込んだという一説もあります。
球根には、球根に「アルカロイド」という毒を持っていますが、水にさらすことで取り除くことができ、でんぷんを多く含んでいることから救荒食(きゅうこうしょく)として使うこともできます。
※救荒食とは…
飢饉や災害、戦争に備えて備蓄、利用される代用食物のこと(Wikipediaより)
春にも彼岸花は咲くの?
彼岸花は、”彼岸”と名前に付くことから、春と秋の彼岸の時期に花が咲くと思っている人が多いようです。
では、春の彼岸花はあるのでしょうか?
春のお彼岸は、まだ寒く、花が咲く種類が非常に少ないです。
この時期に咲き誇るものの一つに「彼岸桜」があります。これはソメイヨシノなどの桜よりも早めの時期、春のお彼岸のころに咲くので、彼岸桜と呼ばれています。
キンセンカも春の彼岸の時期に咲く花です。
仙台とその周辺では、木で花のように削って作る「けずり花」という造花をお墓に供えるという習慣があります。
これは、寒い時期で花が咲く種類が非常に少ないことから、作られるようになったそうです。
現在では、季節を問わず生花が入手しやすくなったことで、けずり花の生産数が減ってきているようです。
このように春の彼岸の時期に咲く花はありますが、彼岸花は、秋のお彼岸の時期だけ咲きます。
まとめ
いかがでしたか?
彼岸花の開花時期は9月中旬ごろから咲き始め、下旬に見ごろを迎えます。
別名は、曼珠沙華、葉見ず花見ず、死人花、幽霊花、地獄花など非常に多いので驚きましたね。
名前の由来は、彼岸の時期に咲くからでした。
春の彼岸花というのは迷信で、この時期に咲く彼岸桜やキンセンカはありますが、彼岸花は秋のお彼岸の時期のみ咲く花でした。
何気なく目にする花にも、名前一つでも由来があるので、秋のお彼岸の時期に彼岸花を見かけたら、いつもとは違った見方ができそうですね。