とんすいとは?
寒い時期のごちそうと言えば温かい食べ物。その代表的なものが「鍋料理」。鍋を囲んで大勢で食べるのもいいし、タップリの野菜が美味しく食べることができるし、調理に手間がかからないのも主婦の方には魅力的なものですね。
〆にこだわるのも楽しい鍋ですが、鍋料理をいただく時に欠かせないものが「とんすい」。あまり聞きなれない名前ですが、画像を見れば「あ、この食器か!」と一目瞭然。
「とんすい」は、取っ手の付いた小鉢で、鍋料理を取り分ける際などに使う食器です。
漢字では「湯匙」または「呑水」と書き、中国語では「タンチー」と読み、食器のちりれんげ(陶製のさじ)の意味になります。
一家に一つ常備してるほどメジャーな食器ではありませが、実は使い勝手がよく一つあると大活躍してくれる優れた食器なんです。
陶器など電子レンジ対応の素材のものが多いのもうれしいところです。最近では専門店だけでなく、雑貨屋さんで取り扱っていたり、料理研究家監修のものが販売されていることもあり密かに注目されています。
とんすいの由来は?
「とんすい」ができた歴史は所説あり、どの説が正しいのかははっきりと分かっていませんが、名前の歴史については、中国の蓮の花の形をした陶器のさじである「湯匙(たんし)」が日本に伝わるときに“とんすい”と誤って伝わったという説があります。
独特な形についての歴史は、「呑水」と漢字で書くことから、元々は水瓶などから水をくんで飲むために使われた器だったのではないか、と言われています。
また、「とんすい」の形は、散った蓮 (はす) の花びらがモチーフなので、昔は取っ手が長かったと言われているようです。
また、単にとんすいは長崎方面の方言であるという説もあるそうです。
とんすいの持ち方は?
とんすいの持ち方については、基本自由で大丈夫ですが、取っ手部分だけを持つと滑って落としやすくなりますので、器全体を手のひらで軽く包みこむようにして持つのがベストだと言われています。
また、鍋料理をいただく際、器を手に持って鍋から熱いものを直接取り分けることを頻繁に行うので、でっぱり部分に親指をあてて器が安定して持てるようにできることや、手に持った時に熱くならないようにもできます。
とんすいの使い方は?鍋以外にも使える?
とんすいの用途は、主に鍋料理の取り皿として使います。そのほか、そうめんのつけダレを入れたり、小鉢代わりに使ったり、取っ手はついていますが、用途が限定されているものではないので、汁ものの多い副菜を入れる時にも利用すると便利です。
また、朝食でヨーグルトを入れる時の器としてオールシーズン活用したり、おやつを小分けにして出したりしてもいいですね。
とんすいを食卓に並べる時の取っ手の向きは?
食卓の配膳は、お箸を右手に持ちお茶碗を左手に持つことを基本に、食べやすいように配置します。ご飯が左手前、汁物が右手前、焼き物や煮物が左奥、右奥に刺身、真ん中に副菜と並べるのが一般的です。
和食の献立では、一汁三菜を基本として、ご飯などの主食、味噌汁などの一汁、メインのおかずである主菜、煮物や和え物などの副菜、副々菜を理想的な食卓としています。お漬物は真ん中に置きますが一汁三菜に含みません。
このような配膳は食べやすさを重視して、汁椀は高さが低いので奥にある主菜を取りやすいように右手前に置いているという説があります。
とんすいは鍋以外で使う時には、煮物や副菜を入れることが多いので、左奥または真ん中に配置すると大丈夫です。取っ手の向きは、左に向けるのが正解になります。
ちなみに左利きの人の場合は、配膳も逆になるのかという疑問が出てきますが、答えは箸の向きだけ逆にして、配膳の位置はそのままです。そもそも配膳を逆に置くのはお供えの場合のみで、それ以外で逆に置くのはマナー違反になります。
ですから左利きの人は、右利きの人用の配膳で慣れるか、食事のときだけ右手でお箸を持てるように練習してしまうのが後々を考えると楽なようです。
まとめ
いかがでしたか?
意外に奥深い「とんすい」でしたが、鍋料理の時だけじゃ何だかもったいない感じで、最近はオシャレなものも数多く出ているので、小鉢としてドンドン活用していくといいですね。